ニュースリリース:旧日立ディスプレイズ

2007年1月30日

SELAX技術を用いたIPS低温ポリシリコンTFT製造法を開発

日立ディスプレイズ(取締役社長:井本義之)は、日立製作所 研究開発本部と共同で、従来のアモルファスTFT生産ラインにて、低温ポリシリコンを最適に生産する製造技術を開発しました。
本技術は、SELAX(*1)技術(高性能なポリシリコン薄膜を部分的に形成する結晶化技術)を用い、アモルファスTFTの一部に低温ポリシリコンの性能を付加することを可能としたものです。これにより、従来のアモルファスTFT生産ラインに巨額投資をせずに、低温ポリシリコンの生産能力を上げることができます。

近年、携帯電話等のモバイル機器では、表示画面の高精細・高画質化が求められており、画像や動画を美しく表示できるIPS液晶が多く採用されています。特に携帯電話用途では、ワンセグなどアプリケーションの多様化が進み、高精細VGAのIPS液晶の需要が増加して行くことが予想されています。 VGAは、現在主流のQVGAに比べて画素数が4倍となるため、一般的に電子移動度(*2)が大きく、回路内蔵が可能な低温ポリシリコン生産ラインで生産しています。当社では、VGA生産拡大を視野に入れて、低温ポリシリコンの生産能力拡大を検討してきました。
従来、アモルファスTFT生産ラインでは、薄膜シリコンの結晶化ができないため、低温ポリシリコンを生産することは不可能でした。今回、アモルファスTFT基板の中で、周辺の回路内蔵部のような大きい電子移動度を必要とする部分のみに固体レーザを照射し、シリコンの結晶化と横方向の結晶成長を同時に実現しました。これにより、大面積のガラス基板に、位置精度良く結晶領域を形成することができ、通常のエキシマレーザによる低温ポリシリコン工程に比べて、良質な結晶を短時間で作ることが可能となりました。 。

本技術の製品の量産への適用は、2007年中の見通しです。千葉県茂原市にあるV3ライン(大型基板;730×920mm)にて生産体制を整え、従来の低温ポリシリコン生産ライン(生産能力は、2.2型換算200万台/月)に加えて、100万台/月の生産能力増強になる見込みです。今後も需要に応じて、SELAX設備の増設により能力を増強していきます。
なお、今回の製造技術の基礎となったSELAXは、日立製作所 中央研究所が2002年5月に、ディスプレイに関する国際会議「SID2002 (Society for Information Display 2002 International Symposium)」で発表したものです。従来の低温ポリシリコンTFTプロセスとの互換性が高く、大型ガラス基板の任意の位置で処理ができる特徴があるため、次世代技術として注目されました。 その後、日立製作所 研究開発本部と当社が共同で研究を進め、今回の技術開発に至ったものです。

用語説明

(*1) SELAX技術:Selectively Enlarging Laser X'tallizationの略。
固体レーザのパルス幅を制御して、TFT液晶パネルに塗布されるポリシリコンに照射することで、シリコン薄膜を最適条件で融解・凝固させ、“擬 似単結晶シリコン*”を形成する技術。より高精細なTFT液晶を実現するためには、電子移動度を大きくする必要があり、このためには、電子の移 動を阻害する結晶粒界を少なくし、結晶粒を大きくする必要があります。SELAX技術によって、従来の結晶と比べ、結晶粒が20倍程度の大きさで、 かつ平坦な表面を有するポリシリコン膜を形成することができます。
* 擬似単結晶シリコン:TFTの電流方向を横切る粒界が存在しないポリシリコン半導体。キャリアが散乱されず、電流が流れやすい。
(*2) 電子移動度:電子の動きやすさに対応した値で、トランジスタの性能を表わす基本パラメータのひとつ。この値が大きいほど、トランジスタは大きな電流を流すことができ、低電力で高速回路を実現できます。

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