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平素より株式会社ジャパンディスプレイをご支援いただき、 誠にありがとうございます。

当社は、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念のもと、サステナブル社会に資する経営を堅持すべく、サステナビリティ経営を経営戦略の中核として位置づけています。社会貢献の実現に向け、事業を通じた社会と人の課題解決に取り組むとともに、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指しております。

スコット キャロン 代表執行役会長 CEO  兼  取締役
明間 純
代表執行役社長 CEO

「BEYOND DISPLAY」戦略による事業構造の転換

 当社は、2024年11月、早期の黒字化と持続的な成長を目指し、BEYOND DISPLAY戦略を立ち上げました。本戦略では、高成長が見込まれるセンサー事業の拡大と、先端半導体パッケージングへの参入を通じて、持続可能な成長を図ってまいります。これらの分野は、当社が長年にわたり培ってきたディスプレイ技術を応用可能な領域であり、社会インフラの高度化などを通じて、社会課題の解決にも貢献できると確信しています。ディスプレイ事業においては、アセットライト化とファウンドリーパートナーへの生産委託を通じた事業の強化を推進します。
 さらに、米国OLEDWorks社との資本業務提携を通じて、防衛・自動車・医療などの重要分野に特化したディスプレイ工場及びR&Dセンターの米国での設立も計画しています。
 また、車載ディスプレイ事業については、2025年10月1日付で子会社化し、独立した経営判断と迅速な意思決定を可能とする体制を整備します。これにより、外部からの資金調達や他社との協業など、将来の戦略的選択肢を広げてまいります。

生産体制と財務基盤の再構築

 BEYOND DISPLAY戦略の実行を支えるため、生産体制の再構築にも着手しています。2025年中に固定費負担の大きい茂原工場での生産を終了し、より効率的な石川工場に生産機能を集約します。石川工場は、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージの生産を担う「MULTI-FAB」へと再編し、柔軟性・生産性・コスト競争力を兼ね備えた体制の構築を進めてまいります。
 また、2025年5月には、事業規模に見合った組織体制を目的とした人員削減を発表しました。非常に厳しい決断ではありますが、会社の再生に向けて避けて通れない施策であると認識しています。今後は、残る従業員とともに、機動力と競争力を備えた強靭な組織づくりを進めてまいります。
 財務基盤の強化も喫緊の課題です。2025年7月には、知的財産権の一部を新設した子会社に譲渡し、それらの株式を大株主であるいちごトラストの子会社へ譲渡することで、運転資金の確保を図りました。さらに同月、BEYOND DISPLAY戦略の実現に向けた成長資金の調達を目的として、いちごトラストに対して新株予約権を発行しました。加えて、茂原工場の土地・建屋の譲渡についても現在協議を進めております。今後は、早期の黒字化を通じて、更なる財務改善を目指してまいります。

ステークホルダーとの信頼構築とガバナンス

 変革を進める中で、私が特に重視しているのは、サプライヤーの皆さまとの信頼関係です。長年調達部門に携わってきた経験から、企業の競争力や持続可能性は、サプライチェーン全体の協力によって支えられていることを実感しています。安定供給の確保や技術・品質面での連携は、再建の成否を左右する重要な要素です。誠実な対話と相互理解を通じて、持続的な価値を共創できる関係を築いてまいります。
 人的資本の重要性も、今後ますます高まると認識しています。人員削減という厳しい選択を行う一方で、残る従業員が安心して働ける環境づくりに注力し、組織のパフォーマンス向上とイノベーション創出を促していきます。風通しの良い職場づくりにも力を入れ、従業員との対話を重ねてまいります。
 当社は、取締役会の過半数を独立社外取締役とするなど、透明性と健全性を重視した経営体制を構築しています。私は執行の責任を担う立場として、取締役会の知見や監督機能を積極的に活用し、より透明性が高く、健全な経営判断を行っていく考えです。また、変革を進める中でもガバナンスが確実に機能するよう、社内規則や業務プロセスの見直しを新たな体制に合わせて着実に進めてまいります。
 ステークホルダーの皆さまとの信頼を一つひとつ積み重ねながら、健全で透明性の高い経営の実現を目指して努力してまいります。 

持続可能な未来への貢献 

 当社は、短期的な再建にとどまらず、持続可能な社会の実現に貢献する企業として、長期的な価値創造にも取り組んでまいります。ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を経営に取り入れ、すべてのステークホルダーとの対話を大切にしながら、信頼される企業を目指してまいります。特に、気候変動への対応は、当社及びサプライチェーン全体にとって重要性を増しています。現状では大規模な投資を伴う施策の実施は難しいものの、これまでの取組みを着実に進化させ、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 再建の道のりは決して平坦ではありませんが、一歩一歩前進してまいります。そして、環境や社会に貢献し、信頼される企業となるべく、全力で取り組んでまいります。今後とも、皆さまのご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。