世界初 電波の反射方向が変えられる液晶メタサーフェス反射板の開発に成功
5Gで利用する28GHz帯などの高い周波数は、超高速・大容量な通信サービスを提供できる一方で、電波の直進性が強く、基地局のアンテナが見通せないビルや樹木の影などに電波が届きにくい場所(カバレッジホール)が発生しやすい特徴があります。このような場所へ5Gサービスを提供する方法として、基地局からの電波を特定方向に反射させてカバレッジホールへ届ける『メタサーフェス反射板』*2が注目を集めており、KDDI総合研究所は2021年1月に28GHz/39GHz帯デュアルバンド透明メタサーフェス反射板の開発*3を行うなど研究開発を進めています。
このたび、JDIとKDDI総合研究所は、電波の反射方向を電気的に変更可能な、方向可変型液晶メタサーフェス反射板を開発しました。方向可変型液晶メタサーフェス反射板は、ディスプレイなどの光制御に使われる液晶を電波の反射制御に応用し、反射素子とグランド(地板)との間に液晶層を取り入れ、反射素子を電極として兼用し電圧により電気特性(誘電率)の変更を可能とし、電気的な電波の反射方向制御を実現しました。
KDDIとKDDI総合研究所は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」(https://www.kddi-research.jp/kddi_accelerate5_0/)を策定しました。両社は、ネットワーク、プラットフォーム、ビジネスの3レイヤの環境整備を進めると共に、3つのレイヤを支える先端技術となる7つの分野のテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進します。
今回の成果は7分野のテクノロジーの中の「ネットワーク」に該当します。
- 2021年10月7日時点 KDDI総合研究所調べ
- 電波を鏡面反射と異なる方向に反射できる反射板。反射板は、無線エリア内に発生するカバレッジホールを、基地局とは異なり回線が不要で通信可能なエリアにできるため、低コストにエリア拡張が可能となります。金属等の反射板では、鏡面反射であるため物理的な設置角度の制約が生じますが、メタサーフェス反射板は特定方向に反射できるため制約が軽減されます。液晶メタサーフェス反射板は、電源は必要となりますが、反射方向を電気的に可変できる特徴があります。
- 2021年1月20日発表
世界初、5G本格展開時代に向けた28GHz/39GHz帯デュアルバンド透明メタサーフェス反射板の開発に成功(報道発表)
https://www.kddi-research.jp/newsrelease/2021/012001.html - 電波を反射しない無響特性と、電波を外部に漏らさないシールド特性を持つ特別な実験室で、反射板の純粋な反射特性を評価することができます。